離婚するときに読むブログ

離婚に関するブログ

男性被害のDV相談が5年で3倍に増加

www.topics.or.jp

昨年、徳島県警に寄せられた男性からのDV相談は過去5年で26件から80件と、3倍超の増加となったようです。

実際、男性を被害者とするDVの主張は離婚訴訟でも増えてきている印象です。

実務上比較的多く見かけるケースは、男性が女性からのDVに切れてしまって逆に手を出してしまったケースです。結局女性からのDVは証拠がなく立証できず、男性側のDVだけが立証されてしまって男性側有責になってしまうことは結構あります。

DVの場合は、必ずしも一方的にDVを振るわれているケースだけでなく、双方DVをしてしまっているケースが多いです。双方DVのケースは刑事事件になるくらいの最後の一発をかましてしまった方が不利になります。

男性側としてはDVを振るわれていても絶対に切れない、診断書・映像・音声等の証拠をしっかり残すことが重要です。

別居後、婚活を始めるタイミング

今のパートナーとは離婚することが決まった場合、あらたなパートナー探しをしたいという人もいることでしょう。

では、別居後の婚活のタイミングはいつからがよいのでしょうか。

離婚成立後

一番確実なのは離婚成立後です。離婚成立後であれば、法的にも世間体的にも文句を言われることはありません。

別居後離婚成立前

離婚成立前の婚活には注意が必要です。離婚自体に争いがある場合は不倫と判断されて慰謝料請求の対象となる可能性があります。

婚姻関係破綻に至っていない場合

元パートナーが離婚を争っている場合は注意が必要です。裁判等で新パートナーと交際を開始した時期には未だ婚姻関係は破たんしていたとはいえないと認定されてしまった場合は、新パートナーとの交際は不貞行為に該当してしまい、慰謝料請求の対象となりえます。

別居=婚姻関係破綻ではないので注意が必要です。

婚姻関係破綻に至っている場合

既に婚姻関係が破綻したといえる状態になっていれば、離婚成立前でも新パートナーと交際を開始することに何の問題もありません。

しかし、婚姻関係が破綻しているとの評価は素人には判断が難しく、専門家の助言も得ておくべきでしょう。別居しか破綻事由がない場合は、別居後数年は経過していないと、なかなか破綻を認定してもらえません。

世間の目に注意

婚姻関係破綻後に新パートナーと交際を始めることは法的には何ら問題はないのですが、世間的にこれを問題視する勢力があることには注意を払っておく必要があります。

今井絵理子氏との不倫でだいぶ叩かれていた橋本健神戸市議は、真偽は不明ですが今井絵理子氏といちゃついていたころには既に妻との婚姻関係は破綻していたと弁明しています。しかし、それが真実であると仮定としても、世間からの橋本・今井叩きはおさまりません。

離婚成立前にパートナー以外と交際をすることは汚らわしいとの認識の層が一定数いるということです。世間体を気にする地位にある人は、離婚成立前の婚活は控えた方が望ましいでしょう。

離婚専門弁護士という誇大広告を見破る方法

最近、ネット検索に引っ掛けるために離婚専門弁護士を名乗っている弁護士が目につきます。しかし、文字通り離婚を専門に取り扱っている弁護士というのはごくわずかの存在です。

離婚事件は弁護士の取り扱う一分野に過ぎないのが実態でしょう。最近は分野ごとに専門サイトを作って広告する手法が主流ですので、あたかもその分野の専門であるかのような広告をしている弁護士のサイトが多いです。

そこで、気になる弁護士が本当に離婚を専門的に取り扱っているのかを見極める方法をいくつかご紹介します。

他にも運営しているサイトがないか調べる

離婚を専門的に取り扱っているかのようなサイトを運営している弁護士は、かなりの確率で交通事故、相続、債務整理といった他分野の専門サイトも運営しています。

「弁護士名+交通事故」のキーワードで検索をしてみて、交通事故を専門的に取り扱っているようなサイトが出てきたら、少なくとも離婚専門というのは誇大広告だということがわかります。

登録番号を調べる

少なくとも一定の分野で専門を打ちだすならその分野で3年以上の実務経験は必要だと思います。しかし、実際にはキャリアがほとんどない弁護士が集客のために特定分野の専門性を打ち出すケースは多々見られます。

日弁連の弁護士検索を使えば、弁護士の登録番号がわかりますので、その弁護士の登録番号を調べてみましょう。登録番号がわかればその弁護士の経験年数が概ね分かるので、まだ弁護士になって数年も経っていないということであれば、慎重に広告を吟味すべきです。

弁護士の登録番号がわかったら、以下のサイトで修習期をチェックできます。修習期は数時が大きいほど経験年数が短い弁護士になります。

弁護士の登録番号と修習期の早見表(2016.4版) -

もっとも、年数が長ければいいとも限らないのが弁護士選びの難しい点です。

弁護士・裁判所職員に聞く

誰がどの分野に強いかをよく知っているのは同業者である弁護士と裁判所の職員です。その地域の弁護士・裁判所職員に当該弁護士が離婚に強いかどうかを聞くのが一番確実です。ただ、これはある程度信頼関係が構築された人脈が必要なので、この方法を取れる人は限られているかもしれません。

裁判所の窓口や市役所の法律相談で聞いても教えてはくれませんよ。

そもそも「専門」表記は問題!?

日弁連の業務広告に関する指針では「専門家、専門分野等の表示」は「控えるのが望ましい」とされています。

専門性を客観的に担保するものがない場合は、誤導のおそれがあるからです。

日弁連がこのような指針を出しているのに、あえて専門性を強く打ちだす広告をしている弁護士は広告倫理に関する意識が低いとも考えられるかもしれません。

消費者である依頼者としては、弁護士の広告にまどわされず、慎重に弁護士を選ぶ必要があります。

将来の退職金は財産分与の対象になるか

財産分与でしばしば激しい争いになるのは、将来の退職金を財産分与の対象とするか否かです。

未だ支払われていない退職金を分与の対象とすることは分与義務者の納得は得にくく、資料の提出も任意にはなかなかなされません。

実務上は、10年程度以内に退職金の支払が相当程度確実である場合には、退職金も財産分与の対象となるケースが多いです。

分与の対象となる退職金は、基準時(別居時)に会社を辞めたとしたら支払われるであろう退職金を勤続期間で割って婚姻期間をかけて求めた金額になります。例えば、基準時の退職金予定額1000万円、勤続期間20年、婚姻期間10年の場合は以下のとおり、500万円が財産分与の対象財産となります。

1000万円÷20×10=500万円

退職金が既に支払われている場合はともかく、未だ支払われていない場合は義務者が現金を用意できない場合もあります。その場合は、支払時を退職時にするなどの合意をすることが考えられます。

素人が離婚に関する本を買うならこの1冊!「離婚調停」秋武憲一著

離婚の際は弁護士を付けるのが鉄則だと思いますが、諸事情により弁護士を付けられない人も多くいると思います。費用がすぐに払えなければ法テラスを使えばいいのですが、それすらもわけあってできない人も多いのが実情です。

しかし、素人が弁護士なしに離婚に挑むのは危険です。それでもあえて茨の道を進むならせめてこの1冊くらいは読んでください。

この本は離婚調停の調停委員向けに元裁判官が書いた本です。調停委員というのは離婚調停の際に、夫婦の言い分を聞いて調停を進行させる男女一組の裁判所の非常勤職員です。

調停委員は弁護士の場合もありますが、弁護士以外の場合はいわゆる地元の名士等の法律の素人が就任します。その法律の素人に向けて書かれたのが本書です。最低限これくらいは知っておかないよねということが書かれていますが、内容は結構詳細です。実際には、弁護士等の実務家にとっても必読の1冊でよく読まれています。

離婚に関する論点はほぼ網羅されており、離婚に関する本をとりあえず1冊買うならこの本です。基本的には素人向けなので、一般の方でも理解できると思います。この本に書いてある内容が理解できないなら、やはり弁護士を付けるべきでしょう。 

別居中の不倫は慰謝料発生事由になるのか。

夫婦には互いに貞操を守る義務が課せられています。特に貞操義務が民法に記載されているわけではありませんが、民法上不倫は離婚原因になることから、このような義務を負うと考えられています。

貞操義務に違反した場合、すなわち不倫をした場合は、不倫した側が不倫された側に対して慰謝料を支払う義務が生じます。この慰謝料は結婚期間が長くなるに連れて高額になる傾向があり、平均的な相場としては300万円くらいです。

では、既に夫婦仲が悪くなっており、別居期間中に不倫をした場合には慰謝料は発生するのでしょうか。

結論としては、既に夫婦の婚姻関係が破たんしているといえる状態になっていれば、別居後の不倫に対して慰謝料が発生することはありません。なぜならば、婚姻関係が破たんしている場合には、夫婦に貞操義務は課せられないからです。

この判断で難しいのは、別居=婚姻関係の破綻ではないことです。別居は婚姻関係が破たんしていることを裏付ける一事情にはなりますが、別居即婚姻関係破綻たんという関係には立たないので注意が必要です。

東京地判平成18年6月14日は、別居後の不倫についても、未だ婚姻関係が破たんしていなかったとして、不倫カップルが責任を負うことを認めています。

別居後すぐに不倫をするのは婚姻関係が破たんしていないと認定されて慰謝料が発生してしまうリスクがあります。

祖父母は孫と面会交流できる?

父親が養育費も払わないダメ親父だけど、その両親はまともで養育費を立替えて払ったり、孫の学費を出してくれてたりするケースって結構あります。

親権を母親が持っている場合で、父親側の祖父母が孫に援助をしているような場合、母親が父親側の祖父母に孫を会わせていることも多いです。

しかし、祖父母サイドがお金を払っている間は、母親も子供のために面会を許していますが、祖父母がお金を払えなくなった場合や母親が再婚して養育費が不要になった場合等に母親が面会を拒否するケースが出てきます。

では、父親ではなく祖父母が孫との面会を求めることはできるのでしょうか。

祖父母の面会交流権は法的には認められていない

面会交流権はあくまで両親の権利ですので、祖父母が法的に面会交流を求めることはできません。これは、祖父母が養育費を負担していても同様です。

そのため、祖父母が孫と面会交流するには、母親から任意に面会交流させてもらうか、父親の面会交流時に同席することになります。

親権者が相手方祖父母との面会を拒否できるか

では、逆に親権者の方が相手方の面会交流の際に祖父母との面会を拒否できるでしょうか。相手はまともでも、義両親が嫌で離婚をしたケースなどではこのような相談はときどきあります。

これについては結論として拒否は困難です。

基本的には面会交流中の行動は相手方の自由になります。このときに祖父母に会わせることも相手方の自由です。