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別居時、自分が家を出ていくべきか、相手を追い出すべきか

別居を考える場合、自分が家を出ていくか、相手に出て行ってもらうかは重要な問題です。多くの場合、離婚したい側が出ていくことが多いですが、本当に自分が出て行ってよいかはじっくり立ち止まって考える必要があります。

絶対に自分が出て行っては駄目なケース

まず、自分が家を出て行っては駄目な状況が2つあります。次のような場合です。

  1. 持ち家で住宅ローンの名義が自分の場合
  2. 賃貸で借主が自分の場合

この2つのケースの場合、自分が家を出て行っても、住宅ローンや家賃は契約の当事者である自分が支払いをしなければなりません。大家さんや銀行は、夫婦単位で取り扱いはしてくれず、あくまで契約の当事者になっている一方個人に支払いを求めてきます。これは自分がその家に全く住んでいなくても同じです。

電気・水道・ガス・NHKなどは比較的簡単に解約できますが、住宅ローンや賃貸の借主を変えることは困難です。

この場合で家を出ていくと、自分の新たな住居の家賃に加えて、さらに相手が住んでいる住居の家賃や住宅ローンまで負担しなければならなくなってしまいます。

最終的に相手が出ていく場合でも、さんざん汚されて出て行かれては最悪です。

婚姻費用や養育費で考慮してもらえる?

住宅ローンの名義人や賃貸の借主になっている側は多くの場合、婚姻費用や養育費の負担者になります。収入が多い方が契約することがほとんどですからね。

この場合、相手の住んでいる住居の住宅ローン・家賃は婚姻費用や養育費の支払で考慮してもらえるのでしょうか。

ここは実務上もなかなか難しい論点で一概にはいえませんが、家賃は考慮してもらえる、住宅ローンはほとんど考慮してもらえないというのが実情です。

家賃の場合は、大抵の場合は家賃の支払いを立証すれば支払うべき婚姻費用から家賃分をそのまま引いてもらえます。これは、事実上家賃相当額を婚姻費用の一部として支払っていると考えられるからです。

他方で住宅ローンの場合は全額控除してくれるということはまずありません。こちらは相手方の収入等を基礎にして計算した一定の額を控除することになりますが、この額は非常に低額です。

相手に出て行ってもらった方が得なケース

相手に出て行ってもらった方が得なケースは上記のケースのちょうど裏返しです。すなわち相手が住宅ローンや賃貸借契約の当時者となっている場合です。

この場合、離婚協議中も相手には住宅ローンや賃料の負担が重くのしかかり、早く離婚を成立させてあなたに家から出て行ってもらわなければなりません。

そのため、離婚の条件交渉で自分が家を出ていくことをカードに使えるので、交渉を有利に進めることができます。

まとめ

自分が契約の当事者になっているなら家を出て行っては絶対ダメ!

 

離婚の財産分与、婚約指輪は誰のもの?

離婚の際に問題となる財産分与。中には婚約指輪を返せ~と言ってくる夫もいるかもしれません。婚約指輪もカルティエハリーウィンストンなどのハイブランドのものであれば、売れば結構なお金になるかもしれません。

貰ったものだから当然妻のものでしょ?と思われる方もいるかもしれませんが、離婚時にはよく争われています。

共有財産と特有財産

夫婦が所有する財産には共有財産と特有財産に分けることができ、このうち財産分与の対象になるのは共有財産のみで、特有財産は財産分与の対象になりません。

特有財産は以下のように定義されています。

 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産(民法762条1項)

具体的な例としては、夫婦の一方が結婚前から持っていた預貯金や不動産、相続や贈与などで得た財産などが特有財産になります。

婚約指輪は共有財産か特有財産か

それでは、婚約指輪は特有財産になるでしょうか。

多くの場合、婚約指輪は結婚前に夫から妻へプレゼントされる形で贈与されます。この形式をとらえれば妻の特有財産と評価されるといってよいでしょう。逆に妻から夫へのお返しの時計などは夫の特有財産になると考えてよいです。

実際に裁判で争われた例でも婚約指輪は財産分与の対象とならないと判断されたものがあります。

被告は,原告の資産として,家具,装飾用陶器,婚約指輪,毛皮コートを380万円と評価して財産分与の基礎財産とすべきである旨主張するが,前記判断において被告の住居に残置された家具類等を計上していないし,上記財産の内容及び価額に照らして,これを財産分与の基礎財産とすることは相当でない。

東京地判平成17年4月27日

特殊な事情がない限りは、基本的には婚約指輪は妻のものと判断して大丈夫です。